粋に楽しむ季節の先取り

きものの「基」「気」「喜」

初夏と晩春が行ったり来たりの5月。
制服を着なくなった今も、衣替えの6月が近づくとやはり夏が近い事を感じます。

6月になると着物も袷から単衣に変わり、6月と9月の2ヶ月限定の単衣の着物を楽しむことは、粋と贅沢を楽しむことでも。
季節の花だけに限らず、水や魚などの涼しげな柄のさらりとした単衣の着物に袖を通すことは、着ている人だけでなく、すれ違う人にも巡る季節を伝えます。

季節の先取りは洋服でもオシャレの先端ですが、肌の露出や極端な薄物を身に付ける事は、少々我慢も要しますが、着物の季節の先取りは、少し先の季節をその「柄」で楽しむことにあるのでオシャレの先端をごくごく自然に、粋に楽しめるのです。

5月から6月にかけて、香りを楽しむハーブも1年で一番豊かな旬のシーズン。
バラもラベンダーもまだこれから…という5月の半ば、西日本最大級のハーブガーデン「神戸布引ハーブ園」ではカモミールやミント、旬のハーブが一斉に海を見つめていました。

着物で季節を楽しむことは、四季の自然を楽しむことそのものなのですね。
まったく異なる世界の「着物」と「ハーブ」の接点をそこにふっと感じました。
海と山に囲まれたハイカラな街「神戸」には、「和」も「洋」も混在しているように。

文・写真 堀内利子(ハーバルセラピスト)

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