大地を潤す ”穀雨”

きものの「基」「気」「喜」

柔らかで、優しい。

四季をイメージするとき、「春」はきっと誰もがそんなイメージを持つことでしょう。

風も、空気も、空も雲も、そして雨も。

冷たさや鋭さなど、そこにはまったくなくて。

 

降る雨が、芽生えの植物たちの生長のために大地に浸みていく二十四節気の「穀雨」。

5月4日あたりまでのこの時期の、それはとても優しい雨。

 

日の光も、水もその両方が私たちにとって必要な恵みであり、「穀雨」の頃になると春の雨の優しさをしみじみ思います。

 

「雨が降って百穀を潤す」そんな「穀雨」と同じようにイギリスにも、このような言葉がありました。

「4月の天気は雨と光がともに降り注ぐ」

4月の優しい雨が5月の新緑をより美しいものにしてくれているのかもしれませんね。

 

~♪心の隙間に優しい雨が降る

疲れた背中をそっと湿らせていく♪~

 

記憶のどこかにしまわれていたものが、たった一つのキーワードで検索されて蘇ることも時にはあったりして。

 

遠い日の思い出と一緒にいてくれたそんなメロディーが、波立つ心を潤してくれることも「穀雨」なのかもしれません。

文・写真 堀内利子(ハーバルセラピスト)