「大寒」

きものの「基」「気」「喜」

「大寒」を過ぎるこの時期は、冬の寒さもピーク。
毎年のことながらインフルエンザの流行期でもあり、特に今年は大流行なのだとか。
まだまだ1か月は感染者も増加するとのことなので油断はできませんが、できることなら健やかに春を迎えたいものです。

進化した医薬品(風邪薬)がズラリと並ぶドラッグストアの陳列棚を眺めながら、なぜか「母」のことを思い返しました。
のどが痛い時には、焼いたネギを手ぬぐいに包んで首に巻いてくれた母。
ただ、とにかくネギ臭くて眠れなかったこと。

身体が温まるからと、ミカンの皮を煎じて飲まされたこと・・・これもあまり美味しいものではなかったこと。
その苦さと香りを今も鮮明に思い返すことができます。

唯一美味しいと思えたのは冷たくて甘い、すりリンゴ。
すぐに茶色く変色してしまうのですが、あのトロトロとした食感は昭和時代の子どもにとって最高の療養食でした。

現代において、医学的に「焼きネギを首に巻く」のはNGのようですが、ひび割れた母の指の感触と、あのネギの匂いは今も私の脳裏に愛情深く刻まれています。
ついつい誤解をしてしまいがちですが、インフルエンザの特効薬も、風邪を「治す」薬も存在せず、人の体が本来持っている自然治癒力によってのみ健康を取り戻すことができます。
「免疫力の差」と言われますが、そこに誰かの愛情が加わったなら格段に免疫機能は向上することでしょう。
女性には、大切な人の免疫力をアップさせる・・・そんな大きな力が神様から授けられているよう思います。

寒さもあともう少しの辛抱。
春の始まりを告げる「節分」はすぐそこです。

文・写真 堀内利子(ハーバルセラピスト)

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