“冬萌の健やかな成長” 和装・和のこと VOL.18

コラム 和のこと

 

如月の初日、それは真夏からずっと待ち焦がれていた時。

「奇跡の音響」と称される、東京文化会館小ホールで

柔らかなウェーブの美しい白髪のマイスキーは、静かにチェロを奏で始めた。

 

なぜチェロの音がこんなに好きなのだろう。

人の声に一番近いのがチェロの音だとも言われるけれど、その響きはすぐに私を溶解させる。

世界的チェリストの生演奏を間近に、半分眠り、もう半分はどこか遠くで覚醒しているような。

 

最高の演奏家の生の音楽に触れることは

私の心と身体の、何よりの「栄養」となる。

その音は、

高級エステシャンのテクニックも

三ツ星のグルメも、はるかに超えたもの。

 

そんな至福の時を堪能して、フワフワとしながら上野公園に出て清水観音堂で娘と不忍池を望む。

「そうそう、せっかくだから縁結びのお守り買ってあげるよ。」

「いっぱいあるからいらないよ~」

と言いながらも、可愛らしいものに手が伸びる娘。

どうか良きご縁に恵まれますように・・・・

心の底からそう参拝をしながらも、

こんなふうに娘と一緒に出掛けられる時を

どうか神様もう少しお与えください・・・

娘の幸せを思い祈りながら

自分自身の楽しみもほんの少しお願いしたりして・・・・

 

そんな私の身勝手な願いは、果たしてどこまで聞き入れていただけるのだろうか。

願わくは、春を夢見て、冬萌の健やかな成長を。

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文・写真 堀内利子(ハーバルセラピスト)

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F塚です。寒い雪のその下で、つぼみが春を夢見るように、人も、心も、春に向けそろそろ準備です。卒業、入学は、子供だけでなく、親にとっても、大切な行事。きれいなおかぁさん、きれいなおばぁちゃんでその日を迎えたいものですね。装うことで芽生える日本の心、感じませんか?

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