ため息のこぼれるような空気感とともに、その方は会場の中央へと進む・・・
そしてあちこちから感嘆の声が上がる。
同時に“美人に年齢(とし)なし“という言葉が自然に降りてきた。
それもそのはず、その方は「女優さん」なのだもの。
地方都市に暮らす者にとって、なかなか接することのできない本物の「女優」二宮さよ子さんを間近にできる貴重な機会を、先日私も体験させていただいた。
歩き方、たたずまい、微笑み、語り口・・・何をとってもパーフェクトにさりげない。
何においても「さりげなく」という事が実はとても難しいことで、熟知し年輪を重ね、多くの経験に裏打ちされたところから生まれるものなのだと彼女を見て思った。
「きせ」という和裁ならではのテクニックも、そのまま生きるヒントにつながるもの。
大人になればなるほどに、多少苦しくても、つらくても「きせ」という余裕を携えていないといけないのかもしれない。
若い時代の足し算を、年齢と共に引き算に変えていかなくてはいけないように・・・そんなことをふと思う。
背中の貝殻骨をきゅっと寄せて、肩をすっと落とす。
少々きついその姿勢も、見た目はとても美しい。
若い頃は多少姿勢が悪くとも、許される肌のハリやツヤがあった。
「わからない」ことを「わからない」と言っても無邪気に許される特権もあった。
アラフィフだからと甘えることなく、けれど「年だから」と逃げずにさりげなく生きられたらきっと素敵。
そう、本当は誰もがそれぞれの人生を演じ、生きる主演女優。
私も、そしてあなたも。
文・写真 堀内利子(ハーバルセラピスト)
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F塚です。テレビで沖田修一監督の「滝を見にいく」という映画の紹介がされていました。映画の解説を見ると、主演の方々はオーディションで選ばれた素人の”おばちゃん”なのだとか。映画も面白そうで是非出かけたいと思ったのですが、気になったのは映画とは一転、東京国際映画祭に主演された素人のおばさまたちの着物姿でした。オーディションに合格された方々ではあるということですが、視線が集まると美しくなっていくんですね。発展途上の着こなしであっても着物ってイイと改めて思いました。もしかしたら、日本を元気にできるのは、このパワーなのかもしれないと、先日の講演会の風景を思い出しながら、にんまりいたしました。
さて、秋の講座も終盤ですが、引き続き、幅広い年代で募集中です。大切なその日に輝けるよう、立ち居振る舞いの心得も三回のお稽古で感じてください。
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