日本酒がおいしいと思えた、そんなお酒との出会いがあった。
それは、2年ほど前。
以来ずっとそのお酒を探している。
確か、ピンク色の小さなガラス瓶に入ったそのお酒は「桜のお酒」。
飯綱高原の、花々が咲き乱れる素敵なガーデンが広がるカフェテリアでハーブの講座を終えて、そこの御主人からいただいたものだった。
もともと日本酒があまり得意ではなかったので、それほどのありがたみもなく頂戴し・・・
ところがびっくり。
一口飲んだその瞬間、体中に桜の苑(その)が広がった。
「飲まず嫌い」はいけない、こんなにもおいしい日本酒と出会えたのだもの・・・
そこから私の遥かなるお酒探しのセンチメンタルジャーニーが始まった。
ワインなら辛口の白を少々・・・今一番のお気に入りはイタリアの安価なワイン「ロミオ&ジュリエット」。
シェイクスピアの戯曲をイメージして作られたというだけあって、甘酸っぱくて、どこか切なくて、口に含んだ瞬間に溶けてなくなってしまいそうな儚さが香りになっているような。
これならば「赤」も飲めるかもしれないと思い立ち、「ロミオ&ジュリエット」の赤もセットで購入。
なかなか重たい買い物になってしまうけれど、好きなお酒のためとなったら力持ちになれてしまうから不思議。
そして・・・切ない恋のお話どおり「ロミオ&ジュリエット・赤」も、胸が詰まるような香りと切なさに満ちて、私との出会いを待っていてくれた。
あの時の桜のお酒とは未だに再会できないままだけれど、センチメンタルジャーニーの途中でイタリアのヴェローナで作られた素敵なワインを楽しんでいる。
決して遠回りではないよね・・と自分に言い訳をしながら。
そして今年こそ桜のお酒に出会いたくって、春を待ちこがれている。
文・写真 堀内利子(ハーバルセラピスト)
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