“2枚の大島”和装・和のこと VOL.30

「もうすぐお互い誕生日やで」
つい何日か前に、電話で話したばかりだったのに。
大好きだった叔母との永遠の別れは、あまりにも突然だった。
大好きだった神戸の街を、まさかこんな悲しいことのために訪れることになるなど、思いもしなかったのに。

「着物を着せてあげるんは私の生きがいなのよ。だからどんなに年ととっても電車に乗るのがしんどくてもな、倒れるまで続けたいんよ」
京都で、成人式の振袖を母と一緒に選んでくれた叔母。
そして仕立ててくれたのも、叔母だった。
着物が大好きだった叔母が、着付け講師を始めたのはいつだっただろう。
入学式、卒業式、成人式、七五三、結婚式・・・
そんな人生の晴れやかな節目に着物を着せてあげることで、様々な人たちの喜びや華やぎに寄り添ってきた叔母。

叔母の形見の大島は上品な泥染めで、広げてみると裾周りに明るい茶色の八掛が合わせてあった。
私が20代で誂えた大島には鮮やかな緋色の八掛。
色調がダークな大島は、八掛や合わせる帯でオシャレを楽しめるものでもあるけれど、叔母はいくつの時にこの大島を誂えたのだろうか。
綺麗でセンスが良くて、優しくて温かかった叔母が、もっともっとおばあちゃんになっても、この大島を着て着物道(みち)を歩み続けようと思っていた事を八掛の茶色が教えてくれたような気がした。
私の緋色の八掛と、叔母の茶色の八掛と2枚の大島を重ね合わせたその瞬間、そこに私たちの人生が折り重なったようで、こみ上げるものを抑えることができなかった。
叔母さんたらずるい・・・自分だけ誕生日の5日前に遠い所へ行ってしまうなんて。
永遠に71歳のままで。

文・写真 堀内利子(ハーバルセラピスト)

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2016年4月14日は、「春期認定証授与式」です。気象庁によると、2016年の桜の開花予想では、ここ長野市の満開が4月9日ごろのよう。お天気がもてば当日は満開の桜をバックに記念の一枚が撮れるかもしれません。おめかしして、とっておきの記念写真を各校までお送りください。

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