“愛情に満ちた「涼」”和装・和のこと VOL.32

天気予報の最高気温にため息の出る夏まっただ中。
二十四節季は小暑から大暑へと向かう、夏のピークを迎える。
そして今年は「かつてない暑い夏」とのこと・・・

クーラーに慣れてしまった今、熱帯夜の夜をエアコンなしで眠ることなどできないけれど・・・
そう、昭和のあの頃は、蚊帳(かや)の中で母があおぐうちわの風が、遊び疲れた幼い私を穏やかな眠りへと連れて行ってくれた。

それは優しいうちわの風と、そこに母がいてくれるという何とも穏やかな安心感。
今思えば、母だって暑かっただろうに。
いくらかの他愛ないおしゃべりに付き合ってくれた母は、あの時どんなことを思っていたのだろう。
100%の愛情を見返りなく向けてくれるのが母という存在なのだと、自分も親となって思う。

季節の巡りの中で、いくつもの夏の風景と共に母がいた。
昭和の台所で汗を拭きながら天ぷらを揚げ、そう麺を茹でる母。
七夕の短冊にと、折り紙を切ってくれた母。
遠い日の夏の風景の中に、母の汗が輝いて見える。
そして母が干してくれた布団に染みこんだお日様のにおいと、母の汗のにおいが重なった。

部屋の中に吊り下げられた蚊帳(かや)は、たまらないミラクルに満ちた異空間。
そんな別世界の中で、母が届けてくれた愛情に満ちた「涼」を、今とても懐かしく思う。

IMG_2703文・写真 堀内利子(ハーバルセラピスト)

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