それは早朝の温泉へ通う事。
冬のさなかに、と思うけれど寒くて体が委縮している分、あの温かい温泉の湯を思い描くだけで、いてもたってもいられなくなってしまう。おかげさまで朝の始動が早くなり、当然早起きにもなった。
長野市街地にありながら、車で10分ほど走れば温泉に浸かれるなんて、なんとありがたい。
「美人の湯」に体を沈めると、温かくてなんて良い気持ち…源泉かけ流しの湯口から美人の素がほとばしる。何度も両手ですくっては頬を包み込む“美人にな~れ”。かくして「湯上り美人」が出来上がる。
週末にたっぷりと降った雪も、地下のマグマに温められながら循環して美人の湯となり、恵みとなる。冬至の柚子湯がついこの間であったのも、つかのまに、立春を過ぎた雪景色に感謝する。
“就活に忙しい娘が帰省したら、そうそうお雛様の準備を“。
“豆まきに声をあげてていた娘の姿、過ぎた日々”
目を閉じ、黙想し、…それもまた温泉の魔力なのかもしれません。
文・写真 堀内利子(ハーバルセラピスト)
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魔(ま)を滅(め)っする(魔滅=まめ)まき。鬼(邪気)を祓って、福を呼び込み。新しい1年の無病息災を願う行事。今年の春に願うあたらしきこと。手放してしまった佳きことを、きものにつなげて・・・。