「ラーメンの鬼」とよばれた、佐野実さんのお通夜に参列をした。
鋭い眼光や、ラーメンに対する情熱ゆえの厳しい言動に、世間は彼を「鬼」と呼ぶようになったのだけれど、個人的にはとてもシャイで穏やかなお人柄だったと私は今も思っている。
朝のワイドショーで、小倉キャスターがおっしゃっていた言葉がとても印象的だった。
「日本には華道や茶道といった“道”がありますが、佐野さんはまさに“ラーメン道”を確立された先駆者だと思います」と。
道を究めることは何であれ容易ではない。
「たかがラーメン」を「されどラーメン」と言わせる熱いウェイブに乗せたのは、佐野さんの尽力と情熱があってこそ。
そんな佐野さんの63年の生涯を思わされた、しめやかなお通夜だった。
満開に咲き誇る長野の桜の陰で、私の大好きな椿が大きな花をつけている。
「椿は花ごと落ちるから縁起が悪い」と昔祖母が言っていた。でも私は、だからこそ椿が好きだった。
一枚ごと花びらを散らせる花もよし。花姿のままポロリと落ちるのもまた潔い終わり方だと、その終わり方への憧憬は今も変わらない。
ハラハラとピンク色の花びらを散らす桜は散る姿も美しい。けれどそんな桜の陰でひっそりと花を落とす椿の生き様が、私には桜の花以上にたまらなく愛おしい。
きっと桜も、椿も、それぞれに完結した生き方なのだと思う。
誰からも称賛される美しい桜の陰で、人知れずひそやかに散る椿に様々な思いを重ねながら、佐野さんの63歳の生涯を悼む。
文・写真 堀内利子(ハーバルセラピスト)
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f塚です。今月は、各校、認定式やお花見と催し物が多く、あちこちで着物の花が咲きました。着物の女性が歩く姿は、春の華やぎを増させ、町を明るくします。
そんな中ですが、”エンディングノート”についての話題がありました。
エンディングノートとは終活(しゅうかつ)とも呼ばれ、自分がいなくなった後の家族へのメッセージであったり、残された家族が困らないようにしておく準備のノートです。
桜のように散るか、椿のように散るか、枯れるようにか。命の終わりは、わからないけれど、用意をしておくということは、今日を大切に生きる準備でもあると、教えていただきました。 各校、初夏に向けて新しい企画を準備しています。大人の部活は、お着物だけでなく、少しいいお話も聞けたりします。