和装・和のこと VOL.8

コラム 和のこと

IMG_4320 長野の3月は“春”というより、冬の終わりを伝えてくれる。

春の気配を遠くに感じながら、卒業式帰りの親子連れの姿を車の窓越しに見かける季節。

遠い昔に母と迎えたその時を、母となった私も娘とその門を何度か後にした。

卒業という別れと門出。

入学という出会いと始まり。

それは子どもにとっても、親にとっても、大きな大きな節目の時。

“卒業と入学”が常にセットのはずが、それもやがては終わる。

どんなに長く思えるものにもいずれ終わりの時が訪れ、その時になって初めて「限り」のあることを知らされるのだけれど…。IMG_4316

それにしても、3月ほど涙の似合う月は他にないだろう。

けれど3月の涙は、悲しみや寂しさだけではない夢や未来へと続く涙。

「3月」は心の中に煌めくような希望をキラキラと映し出してくれる、温かな光そのもの。

卒業という別れの涙から1か月ほど後には、春の遅い長野ではようやく桜が咲き始める。

入学式も済んで、ようやく新しい学校生活になじみ始めた1年生を優しく見守るかのように。

そして3月の後にやってくる4月は道端にも、そして新入生の心にも、必ずたくさんの春の花を咲かせてくれる。

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文・写真 堀内利子(ハーバルセラピスト)

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古いアルバムをみつけ開くと、そこには30年以上前、中学校の入学式の日の制服姿の私と着物姿の母がいました。
ふいに目にとまった一枚のスナップ写真は、当時の緊張や希望に満ちた朝を切り取り、遠い日の記憶を今に届けてくれました。

写真というものは、流れ消えていく記憶を蘇らせてくれる、未来への手紙のような役割も、持っていたりするものなのかもしれません。

 

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