北野梨恵さんの 四季便り vol.4

涼を求めて。湧き出る自然水。源智の井戸。 北野梨恵さんの 四季便り

皆様こんにちは。きものアドバイザーの北野梨恵さんの四季便りをお届します。

 

今年は例年以上に暑さの厳しい夏でしたね。私の暮らす松本市では朝晩はようやく涼しくなってきたように感じます。夏の疲れが出る頃ですので、体調に気を付けて過ごしたいですね。

さて、単衣の季節を迎えました。和装の基本的な着用目安とされているのが、10月~5月袷(裏地がついているもの)、6月9月単衣(裏地がないもの)、7月8月夏物(透け感のある薄物)です。温暖化の影響で9月に入っても残暑が続いたり、10月に入っても気温が高い日が多く単衣を着用する期間も長くなってきています。

礼節を重んじる式典では基本をおさえ、それ以外の普段は気温や体調に合わせて臨機応変に着分けると良いと思います。表着は基本通りにして下着や長襦袢で調整をしたり、汗をかいてもお手入れのしやすい綿やポリエルテル素材のきものを活用するものおすすめです。

このタイミングで夏物のお手入れをし、袷の確認をしておくと良いと思います。シミやカビが出ていないか確認しながら、虫干し、風通しをして準備をしておくと安心です。
補足ですが、出来れば1年に1~2回の虫干しをおすすめします。梅雨明けで虫の活動が活発になる7月~8月の土用干し、空気の乾燥する11月の秋干し、気温が低下して乾燥する2月の寒干しが虫干しに適した時季とされており、きものや帯の陰干しや風通しを行い、湿気を含んだ畳紙の交換や、防虫剤・乾燥剤を交換すると良いと思います。大事なきものや帯を長く着用出来るようにお手入れも怠らないように心掛けたいものですね。

今回は単衣の着こなしに取り入れたい素材をご紹介します。
・御召(おめし)…緯糸に強い撚りを掛けた御召緯を用い織り上げ、湯もみして仕上げると細かなシボが出るのが特徴。さらりとした肌触り。
・生紬(なまつむぎ)…紬糸に特殊な精錬方法を施し、ところどころに太い節がある玉糸を使用し織ることで、独特の張りとシャリ感があり素朴な風合い。

・楊柳縮緬(ようりゅうちりめん)…緯糸に片撚りの強撚糸を用いて織り上げた縮緬の一種。縦の方向に同じように柳の葉に似た形のしぼが現れるのが特徴。

・絽縮緬(ろちりめん)…普通の縮緬の中に透き間を織り出した縮緬の一種。平絽や駒絽よりもやや地厚の素材。

・竪絽(たてろ)…横絽の組織を竪に使った織物で絽織の一種。経糸の方向に絽目を表したもの。

特徴のある素材を取り入れ、季節感のあるおしゃれな装いを楽しんでみてはいかがでしょうか。

文・写真 きものアドバイザーの北野梨恵さん